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1.回収業者???
正式には「債権回収会社」である。債権回収とは、弁護士以外の者が委託を受けて法律事件に
関する法律事務である特定金銭債権の管理及び回収を行う営業又は他人から譲り受けて訴訟、
調停、和解その他の手段によって特定金銭債権の管理及び回収を行う営業を言う(債権管理回
収業に関する特別措置法第2条第2項)。そして、法務大臣が許可したこの債権回収会社でなけ
れば債権管理回収業を営むことはできない(債権管理回収業に関する特別措置法第3条)。
さらに法務大臣の許可したこれら債権回収会社が、出会い系サイトやアダルトサイトの利用料を
請求することは絶対にない。
本物の債権回収会社は法務省のサイト(法務大臣の許可した債権回収会社)にて確認できる。
法務省から債権回収への注意事項もあるので参考にしてください。。
サイトが言う債権回収業者とは?
これらはそもそもの行いが違法であるからして問題外。しかしここで扱いたいテーマは正統な請求
を無視して延滞した場合などにサイト側が言ってくる「回収業者に依頼します」である。
実はこれ、かなりグレーゾーンなのだ。
「回収業者」「債権回収代行業者」「回収員」等は、上記の「債権回収会社」を指すものではない。
「請求代行業」と解釈した方がいいだろう。ようするに取り立て屋だ。本来の債権回収業とは、
債権(お金を請求する権利)を買い取り、代わりに請求・回収することだ。しかし出会い系サイトが
言う回収業とは、たんなる請求作業(取り立て)である。債権はあくまでも元の出会い系サイトが
有しており、回収業に移動してはいない。
このあたり、実は出会い系サイトの方でもよく意味が分からずに「延滞した場合は回収業者に
債権を譲渡します」などと書いていたりする。これは誤りだ。「延滞した場合は取り立て屋に請求
を依頼します」というような表現が正しい。しかしいずれにせよ、請求内容の正当性はさておき、
これら回収業者による請求作業そのものを法的に否定するのは難しいだろう。
サイト側の表現の誤りを指摘できる程度である。
延滞金・手数料は高額?
規約に「期日までのお支払い頂けない場合はやむを得ず回数業者に請求を依頼することもあります。
その場合は事務手数料○○円と、延滞金が1日につき○○円発生しますので、ご注意ください」
と書いてあることが多い。しかしこれらすべてが本当に請求されるというわけでもない。
ばっくれ防止のための脅し文句に過ぎないケースも多いのだ。
商品やサービスの代金として支払うべき期日を過ぎた場合に損害賠償金として請求できるのは
年利14.6%まで。例えば5,000円の利用料をばっくれ1年間そのまま放置した場合、損害賠償金として
上乗せできるのは730円が上限。もとの利用料と合計しても5,730円。これを超える請求は無効という
わけだ。従って、いくら正規に利用料を請求されているとはいえ、不当に高い利息や損害金、手数料
等まで支払う必要はないわけだ。もちろん、利用した分はきっちり払おう。
個人情報をサイト側は特定できるのか?
見偽の電話番号等を使って登録した場合、出会い系サイトからの請求はどうなるか。
ここで問題になるのが「プロバイダ賠償責任制限法」である。アクセスログを調査し個人情報
を割り出すとかよく言うが、つまりはプロバイダに問い合わせてログを調べてもらい、会員情報
を提出してもらうわけだ。今までも犯罪性があれば警察からの要請でプロバイダは情報を開示
してきた。最近は「プロバイダ賠償責任制限法」というものがある。
誰かが損害を被った際、その相手と思われる人が利用しているプロバイダに情報の開示を要求
できるわけだ。出会い系サイトの利用料請求にこれがどこまで関係してくるかは分からない。
しかしプロバイダ側も神経質になっているし、トラブルは避けたいので、要求された通りに情報を
開示してしまう可能性はある。とにかくまだ新しい法律であり、解釈も様々であるので、これがどう
いう適用のされ方をするかはまだわからない。
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